こんにちは! LINEスキマニのフロントエンド開発や、フロントエンド開発に関するイベントの運営をしている板井 俊樹(@itatchi3_)です。
LINEスキマニでは、フロントエンド開発業務にDenoを活用しており、チーム内やDeno Land Inc. を交えて活発な議論を行っています。その中で、多くの人を交えてDenoの可能性や次世代ランタイムを用いた新しい開発手法を考えてみたいという思いから、2025年2月17日に「LINEヤフー × Deno Land Inc. Meetup 〜次世代ランタイム×フロントエンドの将来性〜」というイベントを主催しました。次世代ランタイム×フロントエンドについて最前線で議論しあったイベントの様子を開催レポートとしてお届けします!なお、当日現地の雰囲気をより味わいたい方は #LY_Deno_Meetup もチェックしてみてください!
イベント概要
このイベントでは、Denoの可能性や次世代ランタイムを用いた新しい開発手法について考える時間を持ち、次世代ランタイムがフロントエンドの開発環境として広く活用されるために必要な要素や、現時点でのベストプラクティスについて議論を深め、未来のフロントエンド開発の方向性を探りました。
登壇(1) 『Deno Update: 最近のフロントエンド向け機能』by @kt3k
最初の発表はDeno Land Inc. の Yoshiya Hinosawa さん(@kt3k)による「Deno Update: 最近のフロントエンド向け機能」でした。
フロントエンド開発でDenoを利用する際の型、lint、formatなどに関する最新動向について紹介していただきました。
deno lintにおいてReact向けのlint ruleが追加され、さらにJavaScriptでカスタムプラグインを実装できるよ うになったのは画期的だと思いました。これまでフロントエンドの領域では対応しきれない部分がある印象がありましたが、今回のアップデートによって実務レベルでの利用可能性が一気に高まったと感じました。
登壇(2) 『LINEスキマニのフロントエンド開発にDenoを採用した理由』by @kazushikonosu
続いての発表はLINEヤフー株式会社の Kazushi Konosu さん(@kazushikonosu)による「LINEスキマニのフロントエンド開発にDenoを採用した理由」でした。
LINEスキマニのフロントエンド開発になぜDenoを採用したか、どのように活用しているか、導入した結果の振り返りについて発表していただきました。
Denoをフロントエンド開発に活用することで、必要となる複雑な設定から解放され、よりシンプルに開発環境を構築できる点が魅力的だと感じました。Denoの思想に合わせた方が楽になる部分(開発ツールやサーバーで動作するコード)はDenoに任せ、まだ対応が追いついていないブラウザ実行前提のコードについてはDeno上のViteに委ねることで、メンタルモデルを分けて実装できるのは大きなメリットだと思いました。
登壇(3) 『Honoをフロントエンドで使 う3つのやり方』by @yusukebe
最後の発表はCloudflare, Inc. の Yusuke Wada さん(@yusukebe)による「Honoをフロントエンドで使う3つのやり方」でした。
Honoをフロントエンドに活用する方法として、『Hono自体がフロントエンドを提供する』『Honoの上にフロントエンドフレームワークをのせる』『フロントエンドフレームワークの中でHonoを使う』の3つの方法について発表していただきました。
もともとバックエンドを目的に作られたHonoがフロントエンドを返すようになった流れは非常に興味深いです。また、HonoはWeb標準に準拠し、RequestとResponseを扱う薄いフレームワークとして設計されているため、ミドルウェアとして挟み込みやすいのが特徴です。便利なミドルウェアが揃っているので、Hono自体をミドルウェアとして活用することで、多くの場面で役立ちそうだと感じました。
パネルディスカッション 『次世代ランタイム×フロントエンドの将来性』by @kt3k @kazushikonosu @yusukebe @yusuktan
パネルディスカッションの時間では「次世代ランタイム×フロントエンドの将来性」について、先程の登壇者たちに加えてDeno Land Inc.のYusuke Tanakaさん(@yusuktan)を交えて議論しました。
次世代ランタイムの現在地や、Denoの理想と現実、フロントエンドのサーバー回帰についての所感について議論が行われました。
フロントエンドの開発をどの程度サーバー寄りにするかを、ランタイムやフレームワークの提供側とユーザーコミュニティがともに模索している昨今だと思います。その中で、登壇者同士のスタンスや好みによって思い描く理想の将来像が少しずつ異なり、異なる視点をめぐって盛んに議論が交わされている様子が非常に面白かったです。
おわりに
これからのフロントエンドのあり方について、次世代ランタイムを作っている視点、次世代ランタイムをプロダクトに使っている視点、次世代ランタイムの上でも動くフレームワークを作っている視点からの意見を聞ける貴重な機会だったと思います。
それぞれのアーカイブも残してあるためぜひご覧ください!
発表いただいた皆様、そしてご参加いただいた皆様、ありがとうございました!