
こんにちは。LINE Walletを開発しているフロントエンドエンジニアのカム ハヨンです。
LINEヤフーは去年に引き続き、2025年11月16日に開催されたJSConf JP 2025にPremium Sponsorとして協賛させていただきました。
この記事では、JSConf JPというグローバルなWeb開発カンファレンスのスポンサーとしての体験と、スポンサーブースの準備から当日の運営、そして合間に参加できた興味深いセッションまで、会場で感じた熱気を皆さんに共有できればと思います。
JSConf JPとは
JSConf JPは、Japan Node.js Associationが主催する日本で開催されるJavaScriptカンファレンスの一つです。
JSConfというグローバルイベントブランドの日本版で、今年で日本では6回目の開催となりました。
"JS"Confという名前ですが、実際にはJavaScriptだけにとどまりません。React、Node.js、TypeScriptからテスト手法、アーキテクチャ設計、さらには近年注目のAI技術まで、Web開発全般を網羅する多様なテーマが特徴です。このカンファレンスを通じて、JavaScriptを中心としたフロントエンド領域の広がりと、さまざまな分野での活用の広がりを実感できる場となっています。
グローバルなイベントであることから、国内外のエンジニアが東京に集まり、日本と世界のWebエンジニアの架け橋となることを目指しています。
LINEヤフーのブースでは、AIの活用に関するアンケートを実施!

今回のブースでは、お立ち寄りいただいたエンジニアの皆さんにAI活用に関するアンケートを実施させていただきました。

アンケートはこちらの2つの設問を用意しました。
- あなたのAI活用度をチェック!あなたのJavaScriptコードのうち、AIが生成した割合はどのくらいですか?
- 利用しているAIコーディングツールを教えてください!
アンケート1:あなたのAI活用度をチェック!あなたのJavaScriptコードのうち、AIが生成した割合はどのくらいですか?
X軸に「現在のAI活用度」、Y軸に「今後のAI活用意向」を設定したマトリックスを用意し、エンジニアの皆さんに自分の立ち位置を示すシールを貼っていただきました。
AIが日常的なツールとなりつつある現在、エンジニアの皆さんの実際の活用状況と今後の意向を知ることで、AIの最新動向を把握することを目指しました。結果については後ほど詳しくご紹介します。
アンケート2:利用しているAIコーディングツールを教えてください!
さまざまなAIコーディングツールが登場している中で、実際にエンジニアの皆さんがどんなAIツールを活用されているのか気になりますよね。そこでこの質問を設けました。
LINEヤフーでは、毎年「State of LY」というLYエンジニアの技術動向アンケートを実施していますが、JSConf JP 2025参加者の皆さんの回答と社内調査の結果を比較することで、より広い視点でのトレンドを把握したいと考えました。
このアンケートの結果は、イベント終了後に集計し、弊社フロントエンドエンジニアの花谷(@potato4d)によるスポンサーライトニングトーク(LT)で共有されました。どんなツールが人気だったのか、後ほどご紹介します!
そのほかのブースコンテンツ

今回のJSConfでは、弊社のYahoo!知恵袋のソフトウェアエンジニアの津村(@l1lhu1hu1)が「老舗の知恵とAIの二刀流で挑むYahoo!知恵袋の事故らない進化」というテーマで登壇しました。ブースではこの登壇セッションを紹介するパネルと、LINEヤフーが提供するバリューをお伝えするための資料を展示しました。

また、アンケートにご参加いただいた方々には、LINEヤフーオリジナルのノベルティとして、弊社キャラクターグッズや卵ボール、メモパッド、コーヒーバッグなどをお渡ししました。
日本国内のエ ンジニアの皆さんはもちろん、世界各国から参加された方々もLINEヤフーのブースにお立ち寄りいただきました。AIの活用やLINEヤフーのサービス、Webエンジニアリング、キャリアなどさまざまな話題で会話が盛り上がり、言葉の壁を越えた交流を通じて新たな視点や発見がたくさんありました。
ブースにお立ち寄りいただいた皆さま、アンケートにご回答いただいた皆さま、本当にありがとうございました!
印象的だったセッションの紹介
JSConf JP 2025は4トラック構成の会場でセッションが発表されており、各トラックでJavaScriptにまつわるトークがみっちりと行われる、非常に密度の高いイベントでした。その中から、@spring-rainingが印象に残ったセッションをいくつかご紹介します。
From Chaos to Harmony: A History of JavaScript(混沌から調和へ ― JavaScriptの歴史)
ECMA Internationalのフェローを務めていた Allen Wirfs-Brock 氏による、JavaScriptのこれまでの歴史を振り返るキーノートセッションが発表されました。JSの誕生にまつわるエピソードに始まり、ECMAScriptの策定と仕様標準化への取り組み、ES4の失敗とそこから得られた教訓など、JSの歴史を体系的に理解できる内容となっていま した。JSは今年で誕生から30年(!)となり、そのルーツを振り返る機会が徐々に失われつつある中で、改めてJSを客観的に見ることができた点が印象的でした。
また少しメタ的ですが、セッション中に登場した「Don’t Break the Web」というスローガンは、この後のセッションでもしばしば想起される場面がありました。JSConf JP 2025を通して、JSエコシステムが互換性維持のためにどれほどの努力を払っているかを気付かされることが多く、今回のイベントのテーマの一つと言えると思います。
Andromeda - The Future Of TypeScript
新しく開発中のAndromedaというJavaScript/TypeScriptランタイムについて、Denoの開発者でもあるDean Srebnik氏が紹介したセッションでした。
AndromedaはバックエンドにNovaという新しいJavaScript/WebAssemblyエンジンを採用しており、Oxcツールチェインの利用など、昨今のRustエコシステムを活用した設計となっています。残念ながら他のセッション聴講のため直接聞くことはできませんでしたが、Novaに関するセッション(Out the cave, off the cliff — data-oriented design in Nova JavaScript engine)も発表されていました。個人的には、競合のJavaScript/TypeScriptランタイムと異なり、GPU(Graphics Processing Unit)の活用を含むグラフィック機能に注力することを明言している点に興味を惹かれました。
Evolving the Node.js module loader
Node.jsがJavaScriptモジュールを読み込む際の課題について、Node.jsやV8のコントリビューターであるJoyee Cheung氏が発表しました。
CommonJS(CJS)からES Modules(ESM)へ移行していく上で、Module.prototype._compile() の存在とその対応、CJSからESMを読み込む機能(require(esm))を実装する上での問題など、CommonJSにまつわるさまざまな課題を知ることができました。Node.jsが過去のコードの互換性を守るため、いかに労力をかけているかを垣間見ることができました。
JavaScript パーサーに using 対応をする過程で与えたエコシステムへの影響
リソース管理に活用できる新しいECMAScriptの仕様「using」について、JavaScriptの著名なパーサーライブラリであるacornに実装した際の顛末を、UIT INSIDEへの出演経験もあるbaseballyama氏とota-meshi氏が発表しました。
過去に書かれたコードでも問題なく動作することが求められるJavaScriptにおいて、usingという新しいキーワード(≠ ECMAScriptにおけるReservedWord)を導入する際にどのような考慮が必要だったか、実体験に基づいて紹介されていました。そして、モジュールの読み込み方法の違いに過ぎないと思われがちなCJSとESMについて、両者の微妙な仕様差が意外な形で牙を剥き、パーサー実装者を悩ませることになりました。この際の決定が他のパーサーライブラリにも影響を与えたことを含め、JavaScriptエコシステムの奥深さと難しさを改めて感じました。
V8: from <script> to `call $rcx`
ChromeやNode.js などで採用されているJavaScriptエンジンV8について、開発者であるOlivier Flückiger氏がその仕組みを紹介しました。
これまで聴講したJavaScriptの仕様とはまた異なる領域で、個人的にもIgnition、Sparkplug、Maglev、TurboFanといったレイヤーの存在を知っている程度でしたが、最近ではMaglevとTurboFanを組み合わせたTurbolevというJITコンパイラが開発されるなど、すでに十分高速と思われているJavaScript実行においてもまだ改善の余地があることに気付かされました。
LINEヤフー社員のセッション
スポンサーセッション:老舗の知恵とAIの二刀流で挑むYahoo!知恵袋の事故 らない進化

LINEヤフーからは、スポンサーセッションとしてYahoo!知恵袋のソフトウェアエンジニアの津村(@l1lhu1hu1)による、Yahoo!知恵袋のWebフロントエンド開発に関する発表がありました。
No Meeting Dayの取り組みや、Fail Soft、Feature Flagの導入など、大規模フロントエンド開発で直面する課題とその解決策が紹介され、共感を持って聞くことができました。
スポンサーLTセッション


JSConfでは、各スポンサーが5分間のライトニングトーク(LT)を行うスポンサーLTタイムが設けられています。
LINEヤフーからは、フロントエンドエンジニアの花谷(@potato4d)が登壇し、LINEヤフーが提供したスポンサーセッションの紹介と、ブースで実施したAI活用アンケートの結果発表を行いました。
5分という短い時間で行ったスピード感あふれる発表でしたが、もし十分に見られなかった方は、発表資料を上記のSpeaker Deckでぜひチェックしてみてください!
ブースアンケート結果発表

アンケート1 「あなたのAI活用度をチェック!あなたのJavaScriptコードのうち、AIが生成した割合はどのくらいですか?」
1つ目のアンケート「AIコード生成の活用度調査」では、現実のAI活用度(X軸)と理想のAI活用度(Y軸)のマトリックスに約130個のシールが集まりました。
シールを貼ってもらいながらインタビューをしたところ、主に下記のような興味深い傾向が見られました。
Y軸(理想のAI活用度)については:
| 下側(AI活用に慎重) | 上側(AI活用に積極的) |
|---|---|
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X軸(現実のAI活用度)については:
| 左側(現状あまり使っていない) | 右側(現状よく使っている) |
|---|---|
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特に注目すべきは、多くの参加者が右上の象限(現実でもAIをよく使っていて、今後もさらに活用したい)に集中していることです。JSConfに集まるようなアクティブなエンジニアたちは、すでにAIを積極的に取り入れている様子がわかりました。これは、エンジニアコミュニティにおけるAI活用の積極性を示しているのかと思います。
一方で、左上(現状はあまり使っていないが、将来はもっと活用したい)にも少なからぬシールがあり、「AIを使いたいけどまだ使いこなせていない」というギャップも感じられました。
全体をみると、「AIともっと一緒に仕事をしたい」という前向きな声が多く、エンジニアたちがAIをライバルではなく心強いパートナーとして捉えていることが印象的でした。
アンケート2 「利用しているAIコーディングツールを教えてください!」とState of LY 2025の比較

2つ目のアンケート「AIコーディングツール調査」では、LINEヤフー社内(紺色)とJSConf参加者(緑色)が使っているAIツールを比較してみました。JSConfでは合計245票の回答(複数選択可)がありました。
- GitHub Copilot: LINEヤフー社内では約80%の利用率があるのに対し、JSConfでは55票(約22%)と差が見られました。
- Cline: LINEヤフー社内では約55%の利用があるのに対して、JSConfではわずか3票(約1%)のみでした。
- Claude Code: JSConfでは90票(約37%)、LINEヤフー社内でも約70%と、両者で多くのエンジニアに利用さ れていました。
- Gemini CLI: JSConfでは17票(約7%)、LINEヤフー社内では約20%の利用率でした。
- Codex: JSConfでは33票(約13%)の利用、LINEヤフー社内では約21%と、8%ほどの差がありました。
- その他: JSConfでは43票(約18%)がありました。シールを貼ってもらう際のインタビューでは「Cursor」が最も多く挙げられ、他にも「Amazon Q」「T3 Chat」「Code Rabbit」などの名前が見られました。一方、LINEヤフーの「State of LY」調査ではこれらのツールは選択肢に含まれていなかったため、直接の比較はできませんでした。
この結果から、企業に所属するエンジニアと個人で活動するエンジニアでは使用ツールに違いが見られました。
会社の公式採用ツールと個人の好みや探究心による選択の差が表れていて、エンジニアのツール選びの多様性を感じました。
おわりに

いかがでしたか。JSConf JP 2025では、国内外のエンジニアとの交流を通じて、最新のWeb開発トレンドやAI活用の実態について多くの発見がありました。
LINEヤフーとしても、ブースでのAI活用アンケートを通じて、エンジニアコミュニティの生の声を聞くことができたのは貴重な経験でした。特に、AIツール利用の実態調査は、社内と外部のエンジニアの違いを知る良い機会となりました。
今後も私たちは、このようなグローバルなカンファレンスへの参加・協賛を通じて、最新の技術トレンドをキャッチアップ しながら、日本のWeb開発コミュニティの活性化に貢献していきたいと考えています。また皆さんとお会いできることを楽しみにしています!
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