こんにちは。Yahoo!乗換案内のiOSアプリ開発を担当している山田です。
LINEヤフー株式会社では毎年、WWDCをさらに楽しむイベントとしてExtended Tokyo - WWDCを開催しています。今年はオンラインでの開催となり、社内のiOSエンジニアで研修施設に集まって配信を行い、翌日はWWDCで発表された新しい技術のキャッチアップや各サービスのビルドの検証などをその場で行うといった合宿形式の取り組みを実施しました。
本記事ではイベントの様子や、翌日の合宿についてご紹介したいと思います!
Extended Tokyoとは
Extended Tokyoは、Appleが行っている技術者向けカンファレンスWWDCのメインセッション(Keynote)をさらに楽しむためのイベントです。昨年まではオフライン開催で、参加者含めて夜通し会場に集まり、同時にKeynoteの鑑賞をしていました。今年はオンライン開催で、Keynoteの時間まで、毎年恒例のLTや現地中継、今年のWWDCで発表される内容を予想するパネルディスカッションなどを実施しました。運営に携わる社内のメンバーは、研修施設に集まり、その様子を中継しました。
LT
LINEヤフー株式会社から1名、株式会社ZOZOから1名の方にLTをしていただきました。
1. SwiftUI Transaction を徹底活用!ZOZOTOWN UI開発での活用事例
株式会社ZOZO / 續橋 涼 / @tsuzuki817
SwiftUIのTransactionに関する実践的な内容を発表いただきました。
Transactionを利用したリッチな画面遷移を具体的な実装例と共にご紹介いただけたので、SwiftUIを採用しているプロジェクトではすぐに実践できるような内容でした。
UIKitじゃないと表現できなかった複雑な画面遷移も徐々にSwiftUIのみで実装できるようになっており、SwiftUIの進化と可能性を感じる発表でした!
2. macOSのアクセシビリティ許可には気をつけろ!
LINEヤフー株式会社 / 新妻 広康 / @nhiroyasu_
macOSのアクセシビリティ許可によってアクセスができるようになる情報について発表しました。
普段何気なく許可しているアクセシビリティの許諾によって様々な情報が取得できるようになり、意識せずにいると思わぬセキュリティリスクに繋がってしまうという内容でした。
AIを利用した便利なツール系のアプリが普及している現在において、利用される情報が必要最低限のものになっているのか改めて注意する必要がありますね。
現地中継
LTの後はWWDCに現地参加されている社内のエンジニア 陣から画像や動画をもらって流しておりました。
パネルディスカッション
現地中継の後は「WWDC25大予想」というお題でパネルディスカッションを行いました。
パネルディスカッション - 司会
LINEヤフー株式会社 / 明石 拓弥 / @takumi_3025
パネルディスカッション - パネリスト
LINEヤフー株式会社 / 三木 康暉 / @giginet
LINEヤフー株式会社 / 平井 亨武 / @himeshi_tech
株式会社ZOZO / 續橋 涼 / @tsuzuki817
iOSやXcodeのバージョン表記の統一化、#Playground
マクロの発表、WWDC24で発表されたSwift Assistに変わるコード生成機能の発表など様々な分野の予想を期待度別に分類しました。
昨今はAIが注目されているため、今年のWWDCでAI関連の発表があるのでは?といった予想が多く挙げられていた印象があります!
WWDCセッション視聴
今年はWWDCセッション開始時間に合わせてイベントをクローズし、研修施設に集まった社内のiOSエンジニアでWWDCの セッションを視聴しました。
セッションを視聴しつつ、パネルディスカッションで予想した内容の答え合わせを行いました。
結果はなんと、見事的中が8件、完全に的中とはならなかったもののほとんど的中となったものが5件と予想を大きく上回る結果となりました!
的中した予想と合わせて今年のWWDCで発表された内容を振り返ってみます!
的中
- iOS26、Xcode26 のようにバージョンが統一される
- iOS 26、iPadOS 26、macOS 26 Tahoe、visionOS 26、Xcode 26のように各OSとツールのバージョンが西暦下二桁で統一されました。 - WWDC25 基調講演
#Playground
マクロの追加- コードを即座に実行、キャンバス内で結果を確認することができる
#Playground
マクロが追加されました。 - WWDC25 Xcodeの新機能
- コードを即座に実行、キャンバス内で結果を確認することができる
- SwiftUI用のWebView
- SwiftUIに対応したWebViewが発表されました。 - WWDC25 SwiftUI向けWebKitの紹介
- Xcode Agent
- Xcodeにコーディングアシスタントの機能が追加されました。 - WWDC25 Xcodeの新機能
- 自然言語でのXcode操作
- Macに話しかけてXcodeを操作することができる機能が追加されました。 - WWDC25 Xcodeの新機能
- Image Playground APIの発表
- Image Playgroundの機能がAPIとして公開されるようです。 - WWDC25 Platforms State of the Union
- UIApplicationDelegateの廃止
- iOS26以降のリリースで最新のSDKで開発されたUIKitアプリは
UIScene
のライフサイクルが必須化されました。 - WWDC25 UIKitの新機能
- iOS26以降のリリースで最新のSDKで開発されたUIKitアプリは
ほとんど的中
- Swift Assistがなかったことになる
- Swift Assistに変わる機能であることや詳しい名称の言及はなかったものの、Xcodeにコーディングアシスタントの機能が追加されました。 - WWDC25 Xcodeの新機能
- macOSのダークモードアイコン対応
- Icon Composerで作成したアイコンでは、MacのアイコンでもTintの指定が可能になりました。 - WWDC25 Icon Composerでアイコンを作成
- Accessibility Manifest対応
- マニフェストの発表はなかったものの、アプリでサポートされているアクセシビリティ機能を表示するAccessibility Nutrition Labelsが追加されました。 - WWDC25 Accessibility Nutrition Labelsによるアプリの評価
- Storyboardが動かなくなる
- メニューバーといった一部の機能はStoryboardで定義することができなくなりました。 - WWDC25 UIKitの新機能
- String Catalogの自動ローカライズ
- ローカライズを全て自動で行う機能はなかったものの、ローカライズに役立つコメントをAIで生成する機能がXcodeに追加されま した。 - WWDC25 Code Along:Xcodeによるローカライズの詳細
合宿
イベント翌日は引き続き研修施設に滞在し、Xcodeのベータ版をダウンロードして、新しい機能の調査や各サービスのプロジェクトのビルドができるかどうかを確認する合宿を開催しました。
毎年WWDCの発表に合わせて、新しいiOSに関する情報などは専用のSlackチャンネルを作って集約していましたが、現地に集まってその場で確認することでより早くキャッチアップすることを目的としていました。
集まったのは特定のサービスに所属するメンバーのみではなく、様々なサービスでiOS開発を担当しているエンジニアが参加し、サービスの垣根を超えた取り組みとなりました。
合宿開始の段階では複数のサービスでビルドエラーが発生していたり、起動時にクラッシュしてしまう状況でしたが、同じクラッシュが発生しているメンバー間で連携して試行錯誤を繰り返し、その日のうちに参加メンバーが担当しているプロダクトは無事起動できる状態まで持っていくことができました!
おわりに
当日イベントに参加された方は遅い時間にも関わらずご参加いただきありがとうございました。今回参加できなかった方も、この記事を読んで来年は参加していただけたら幸いです!
今年はWWDCのキャッチアップやXcodeのベータ版でのビルドを集まって行うという新しい取り組みも実施しましたが、爆速でキャッチアップが進んでいったり、普段直接話す機会がない他サービスのiOSエンジニアの方と意見交換ができたりなど、全体を通してとても有意義な取り組みとなりました。
LINEヤフー株式会社ではこのようなイベントを今後も開催していきたいと思っておりますので、ぜひお気軽にお越しください!