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LINEヤフーにおける『GitHub Copilot』の利用推進の取り組み

こんにちは。GitHub Copilot Meetupイベントを運営している河本です。

本記事では、LINEヤフーの Developer Relations が行っている GitHub Copilot 推進の取り組みをご紹介いたします。GitHub Copilotの組織導入を検討されている方や、個人での活用を考えている方の参考になれば幸いです。

GitHub Copilotは、生成AIを活用した AI peer programming tool で、コードの自動補完や提案を行い、開発者の生産性を大幅に向上させる革新的なサービスです。当社では多くのエンジニアが日常的に活用し、開発効率の向上を実感しています。

社内限定の GitHub Copilotイベントからスモールスタート

このGitHub Copilot企画は、Developer Relationsの山岡さんを中心にLINEヤフー社内限定の「クローズドな勉強会」としてスタートしました。

社内におけるAI活用の情報共有を促進するため、初期段階では社内エンジニアを対象に登壇者を募り、GitHub Copilot 活用の経験談やテクニックを披露する小規模なイベントを開催しています。

GitHub Copilotの使いこなし方や適用事例を社内エンジニア間で共有し、社内活用を促進するとともに、個々の開発者が試行錯誤を通じて得た知見を社内で循環させ、個人の経験を組織的な知財として蓄積・可視化することを目指していました。

イベント開催にあたり、GitHub、Microsoftの方からいただいたノベルティ

需要の高まりを受けて誕生、GitHub Copilot Meetup イベント

GitHub Copilotの活用が今後ますます開発スピードや品質の向上に寄与することが期待される中、その活用を促進する活動への必要性も高まりました。

これに応える形で、多様な視点を取り込む「場」として創出したのが「GitHub Copilot Meetup イベント」です。

GitHub Copilot Meetup ではLTの企画であったり、外部からスペシャルゲストを招いた特別セッションを企画するなど、社内に留まらない多様な交流の場作りを意識しました。

こうした取り組みを通じて、さまざまなバックグラウンドを持つ参加者や専門家との接点を設け、より越境的で多面的な広がりを獲得することを目指しました。

「社内に閉じない」コミュニケーションの実現により、参加者は自身の専門分野や組織の枠を超えて外部の視点に触れる機会を創出しています。

これまでのイベント内容とその感想

これまでのイベントの様子
これまでのイベントの様子

ここでは、これまでに開催されたGitHub Copilot Meetupイベントの内容と参加者の反応についてご紹介します。

第1、2回: 2024/6/21 「GitHub Copilot 活用LT & 相談会(社内向け)」 2024/9/17 「GitHub Copilot 活用LT(社外向け)」

GitHubやMicrosoftからゲストをお招きし、GitHub Copilotの最新機能や活用事例についての講演と、社内エンジニアによるLTセッションを実施しました。参加者からは「実践的なTipsが学べた」「GitHub Copilotを利用してみたいと思った」といった感想が多く寄せられました。

第3回: 2024/11/29 「GitHub Universe Recap & GitHub Copilot Meetup」

Microsoftのスペシャリストを招いて 11/27 に渋谷で行われたGitHub Universe Recapの振り返りを兼ねたイベントを開催しました。最新のAI機能やGitHub Copilotの進化について深く掘り下げ、社内外の参加者がバランス良く集まる場となりました。「現地参加できなかったからキャッチアップすることができてよかった」など、業務都合でGitHub Universe Recapに参加できなかった方が視野を広げる機会として好評でした。

第4回: 2025/1/31 「GitHub Copilot Handson Workshop」

Microsoftの方をお招きしてオフライン会場におけるGitHub Copilotのハンズオンセッションを実施しました。参加者は実際にGitHub Copilotを操作しながら機能を学び、その後、グループワークを通じて「組織でのGitHub Copilot活用方法」について実運用するチームメンバーを交えて議論しました。現場の課題や懸念点、成功事例などが共有されました。具体的な感想は本記事の後半にて山岡さんからご報告させていただきます。

オフライン開催へのこだわり

弊社で行うGitHub Copilot Meetupのイベントはオフラインでの開催で行い、懇親会の時間をとるようにしています。

オンライン形式は遠隔地からの参加や参加者数拡大が期待できる一方で、実際に顔を合わせてコミュニケーションをとる機会が限られ、情報発信が一方向的になりやすいという課題があります。

これに対して、オフライン開催では、会場へ足を運んだ参加者同士がちょっとした声掛けをきっかけに自然と知見やアイデアを交換し合える機会が生まれやすいです。

そこで生まれる相互作用的なコミュニケーションによって共有した内容は、単なる技術情報にとどまらず新たな問題提起や改善策のヒントとして発展していくことが期待できます。

単なる情報のインプットにとどまらず、参加者同士の対話がイノベーションを生み出すきっかけにしたいと考えて実施しております。

株式会社ZOZOから提供いただいた ZOZO x GitHubのコラボアイテム
株式会社ZOZOから提供いただいた ZOZO x GitHubのコラボアイテム

GitHub Copilot ワークショップを受講したメンバーの声

ここからは Developer Relations の山岡が担当させていただきます。

先ほど河本さんからご紹介がありました、社内で実施した「GitHub Copilot Handson Workshop」についてご紹介させていただきます。

オフラインの GitHub Copilot ワークショップ

このワークショップはMicrosoftから多大なサポートをいただき開催することができました。参加者からは、ワークショップを通じてGitHub Copilotの使い方を学び、多くのフィードバックをいただきました。

以下にその際にいただいたフィードバックを要約してご紹介します。これらの意見は導入を考えている組織にとっても役立つのではないでしょうか。

学んだ新しい機能とその活用法

  • @や/などのコマンドや、影響の大きい順番の指定方法を初めて知り、これから活用したいと思った
  • メソッド名からロジックを推論してくれる機能や、カスタムインストラクションの便利さに驚いた
  • 単体テストの作成で時間を削減できると感じ、Copilotの機能を十分に活用していないことに気づいた

業務効率化への期待

  • 開発フェーズ以外でも使える機能があり、全工程で活用できることに驚き、チーム開発に取り入れたいと思った
  • 英語でのレビューが多い中、日本語でのレビューが可能であることが便利だと感じた
  • AIがコードを書く文化が広まることにより、ドキュメントやコメントを書く意識が自然と生まれると良いと感じた

使用して気づいた課題

  • 知見のない分野でのコード提案の正誤判定が難しいが、簡単なタスクを任せるのは良いと思った
  • 複雑なコードやリポジトリ全体の扱いにまだ課題があるが、VSCodeとの親和性は高く評価した
  • Copilot Chatの使用用途を新たに知り、今後の活用を検討したい

Copilotと人間の役割分担

  • Copilotの生成コードは必ずしも正確とは限らず特にビジネスロジックは人の確認が重要
  • リファクタリングや最終レビューは、プロジェクト全体を見た人間が行う必要がある
  • ドメイン知識の具体的な実装やレビューは、人間が行うべきで、AIの提案を鵜呑みにするのは危険
  • コーディング規約やプロンプトの設定は人間の知識と判断が必要であると実感

このように、このイベントを通じて参加者がGitHub Copilotとの役割分担を考える機会となったことが読み取れるかと思います。

直近のイベントのご案内

さて、ここまで紹介させていただいたGitHub Copilot Meetupのイベントですが、4月に弊社の複数拠点会場で開催いたします。既にGitHub Copilotを活用されている方から、まだ活用されていない方まで、ぜひお気軽にご参加ください!

各イベントの詳細や参加登録については、公式ウェブサイトをご確認ください。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

おわりに

ここまでお読みいただきありがとうございました。現在様々な開発を支援するAI Agentも展開され始めておりますが、GitHub Copilotの利用者もさらに増えていくと考えております。私たちは、これからもイベントを通じてその活用をサポートしていきます。