LINEヤフー Tech Blog

LINEヤフー株式会社のサービスを支える、技術・開発文化を発信しています。

アクセシビリティカンファレンス福岡 2024 参加・協賛レポート

Webアクセシビリティチーム 富田です。2024年11月30日に開催されたアクセシビリティカンファレンス福岡にプラチナスポンサーとして参加しましたので、そのレポートをお届けします。

このイベントは地方からアクセシビリティ活動の枠を広げていくという理念から東京以外での開催を掲げており、前回はLINEヤフーコミュニケーションズ福岡オフィスを会場として開催されました。2度目の開催となる今回はより規模を拡大し、神社の敷地内にあるというユニークな立地が特徴的な、福岡の天神南駅近くの警固神社社務所ビルという新しい会場での開催となりました。

前夜祭

イベント当日に先立ち、前日夜にLINEヤフー博多深見オフィスで前夜祭が行われました。イベントの主催者である平尾ゆうてんさんのあいさつでは「本番はハンマーで殴られるような衝撃を受ける内容だが、刺激を受けて何か生み出してくれたら嬉しい」という言葉が非常に印象的で、イベント内容への期待が高まりました。

前夜祭ではWebアクセシビリティチーム中野より、LINEヤフーにおけるアクセシビリティガイドラインの状況についてスポンサーLTとして発表しました。

前夜祭の会場写真。スクリーンが大写しになっており、イベントのイントロダクション情報が表示されている。

前夜祭のWebアクセシビリティチーム中野によるスポンサーLT中の写真。左側にスクリーンがあり、右側に登壇者がいる。

イベント当日

当日のスポンサーセッションでは同じくWebアクセシビリティチームで兼務として参加しつつ、主務としてLINEギフトの開発業務を担当している慶島より「エンジニアの草の根活動のその先へ LINEギフトのアクセシビリティにおける ネクストアクション」として、LINEギフトで実施した障害当事者の方へのユーザーテストと、それを踏まえた今後の展望について発表しました。

スポンサーセッション中の慶島の写真。

また当日はスポンサーセッションの他にブース出展も行いました。ブースでは登壇では扱わなかったアクセシビリティガイドラインの統合に関する内容をポスターにて掲示した他、ペーパーにまとめたものをノベルティと合わせて配布しました。ブースはメインセッションの隣の部屋で行われましたが、セッションの合間にも数多くの方に訪れていただけ、最終的には120名を超える来場者の方にお渡しすることができました。

 LINEヤフーブースでのブース設営メンバーの集合写真。ブースにはノ�ベルティが並べられ、手前には掲示ポスターが置かれている。

ブースコーナーにイベント参加者が訪れている写真。多くの人々が集まっており、参加者たちは立ち話をしたり、机の周りに集まっている。

イベントに参加してみて

前述の通り前年に比べて定員が大きく増えたにもかかわらず満席状態で、大きな盛り上がりを感じました。イベントの環境も各セッションには手話による同時通訳やUDトークによる字幕対応、会場では託児ブースの設置などさまざまなユーザーへの配慮が感じられるものとなっていました。 

イベントのメインセッションでは、企業でのアクセシビリティの取り組み、手話CGの開発経緯や活用事例、選挙のアクセシビリティに関する問題といった幅広いテーマが扱われました。そのなかでも特に最初のセッションである「障害は乗り越えられるべき課題なのか?」での、健常者が持つ潜在的な差別意識、エイブリスムへの言及が非常に印象的でした。

障害がない状態を100%とし、障害がある人は100%ではないという認識に陥っていないか。障害がない人の文化に障害がある人を適合させたとき、障害がある人がそれ故に勝ち得てきた文化はどうなってしまうのか。セッションで語られたこういった観点について、自分のなかでも見過ごしていたことに気付かされ、まさに前夜祭で聞いた「ハンマーで殴られるような衝撃」を受けた内容でした。同時に自分が将来的になにか障害を抱えたときに、それによって何かを失ったのと捉えるのではなく、新しい環境や文化にスイッチしたと捉えられることができれば前向きに向き合っていけるのではないか、という希望も感じられたセッションでした。

せっかくなので今回は同行したメンバーにも、それぞれ参加してみた感想を聞いてみました。

慶島 (スポンサーセッション担当 / LINEギフトのWeb開発)

アクセシビリティカンファレンスは2023年の回をオンラインで視聴して、今回初めて現地で参加しました。

参加してみてよかったと特に感じたのが、みなさんのアクセシビリティへの熱量の高さを直接感じられた点です。前夜祭や、カンファレンス当日のスポンサーブースにいらっしゃったみなさんとお話をしていると、社外にもたくさんアクセシビリティについて一緒に悩んで走っている仲間がいるなと改めて感じることができました。

また、どのセッションも衝撃を受けたり、ここを目指したい! と刺激を受けたりと、私たちが次にどういうアクションを取るべきなのかのヒントになるようなことをたくさん聞くことができました。

中野 (前夜祭LTと当日の企業ブースに参加 / ガイドラインの運用)

アクセシビリティカンファレンス福岡は、今回初めての参加でしたが、登壇者、会場、運営などから事務局と委員長の意思やメッセージが強く感じられるカンファレンスでした。

前日の前夜祭で話をさせてもらって、懇親会に参加した時点からイベントの熱量が感じられました。そして、当日は会場ブースにいましたが、非常に多くの方に来てもらえたことと、会社での取り組みに興味を持って突っ込んだ話を聞かれたことが印象的でした。

前夜祭で委員長のゆうてんさんは「何も持ち帰らなくていいよ」というご挨拶をされていましたが、実際には「次はどうする?」というイベントテーマの通り、自分も含めた参加者全員が何をすべきかを考えるきっかけになった、よいイベントだと思います。

宇賀 (当日の企業ブースに参加 / 出前館のWeb開発)

このたび、アクセシビリティカンファレンス福岡に参加し、最新のアクセシビリティ向上施策や課題について貴重な知見を得ることができました。普段見聞きすることがないWebを超えた幅広いトピックにも触れることができ、大変有意義な時間だったと思います。

また、これまでオンラインでのみやり取りしていたアクセシビリティの専門家の方々とも対面で交流ができたことは、大きな収穫の一つです。個人や他社で活躍されているアクセシビリティ有識者が一堂に会している状況を体感できたのは、オフラインイベントならではだったのではないでしょうか。

加えて、アクセシビリティに関心を持つ多くの方々が参加されている様子を目の当たりにして、あの場にいた一人ひとりやオンラインで視聴している人々の興味や取り組みが社会のアクセシビリティ向上に寄与していることに深い感慨を覚えます。私自身も、一人でも多くの人々にアクセシビリティの重要性を伝え、社会全体のアクセシビリティが向上していくように貢献していきたいという思いです。

本カンファレンスを通じ、「アクセシビリティは社会にとって不可欠な要素である」と改めて実感します。「次はどうする?」に対して、「出前館はこうした!」という背中を見せ、フードデリバリーのみならずWebサービス全体にアピールしながら、今後もよりよいアクセシビリティ環境の実現を目指し、引き続き活動を推進してまいります。

久しぶりのカンファレンス参加となりましたが、多くの刺激とエネルギーをいただき、大変有意義な機会となりました。

玉城 (当日の企業ブースに参加 / Y!mobile メールのAndroidアプリ開発)

スマートフォンアプリのアクセシビリティガイドラインを作成するにあたり、知識を深めるために現地でカンファレンスに参加いたしました。アクセシビリティの分野に関しては初心者でしたが、多くの新しい知識を得ることができ、業務のみならず日常生活でも考慮すべき点が多いことを認識しました。

特に印象的だったのは、「障害は乗り越えられるべき課題なのか?」というセッションです。このセッションを通じて、主催者の言葉通り衝撃を受け、自身の価値観が大きく変わったと感じています。

また、登壇者や参加者との交流を通じて、皆が本気でこのテーマに取り組んでいるという熱意を強く感じ、刺激を受けました。これにより、私自身も何か行動を起こさなければならないという強い意欲を持つようになりました。

現地での参加は非常に意義深く、大変満足しております。今後の業務においても、この経験を活かしていきたいと考えています。

おわりに

アクセシビリティというテーマで地方開催という状況にもかかわらず、前回よりも来場者数が増えたことは、この分野への関心の高まりを感じました。来場者一人ひとりから感じられた熱意は、アクセシビリティチームの活動に対するさらなるモチベーションとなりました。今回のイベントを通じて得られた知識や新しい視点をもって、以降のチームとしての取り組みに繋げていきたいと思います。