こんにちは、ソフトウェアエンジニアの井上(@musaprg)です。普段は、LINEヤフーで使われている社内向け大規模プライベートクラウドのうち、いわゆるKubernetes as a Service(KaaS)と呼ばれるサービスの開発・運用を行っています。
先日2024年9月14日から16日の3日間、長野県の軽井沢にて「第57回情報科学若手の会」が開催されました。LINEヤフー株式会社は、昨年に引き続きスポンサーを務めました。また、私は幹事の1人として、本会の運営に携わっています。
今回は、弊社所属の運営メンバー2名と、スポンサー発表としてご登壇いただいた2名の、合計4名が参加しました。本記事では、会場の様子や、LINEヤフー のスポンサー発表の内容についてご紹介します。少しでも雰囲気が伝われば幸いです。
情報科学若手の会とは
情報科学若手の会は、情報科学に関わる学生、若手研究者、社会人がディスカッションと交流を行う場を提供することを目的としています。
このイベントは、情報処理学会のプログラミングシンポジウム委員会が主催し、年に1回合宿形式で開催されています。1968年から続いており、今年で57回目となりました。
情報科学若手の会(外部サイト)
例年情報科学に通づるさまざまな分野から発表が行われ、専門外の分野について見識を深めたり、専門分野についてより踏み込んだディスカッションを行うことができます。
今回は、幹事メンバーを含めると40人を超える方々が参加されており、学生と社会人がほぼ半分ずつといった割合でした。
弊社は、合併前を含めると、第52回より合計で4回スポンサーを務めています。
スポンサー発表
LINEヤフー株式会社からは、スポンサーセッションとして1件発表を行いました。今回発表いただいた井上秀一さん(@19MU50)と殿山雄大さん(@yudaitonoyama)は、2024年4月に新卒として入社されて、会期中はちょうどOJTの真っ最中でした。
以下は当日使用した発表資料です。
本会では、参加者全員が参加するDiscordサーバーが用意されています。そこには実況用のチャンネルも用意されており、参加者間で発表にまつわる周辺情報の共有や、発表内容に関するコメントなどのやりとりが行われていました。
また、発表終了後のQ&Aセッションでは、たくさんの質問やフィードバックをいただき、登壇者と参加者の間で活発な議論が行われていました。
資料 については、会期終了後に弊社のSpeakerDeckとX(旧Twitter)アカウントにて公開しました。現在まで多くの方にご覧いただいており、お二人も驚いていました。
第57回 情報科学若手の会にて、初学者向けにKubernetesの説明と、社内で展開しているKubernetes as a Serviceについて発表した際の内容になります。#wakate2024https://t.co/I7afoOsRUi
— LINEヤフー Tech (@lycorptech_jp) September 20, 2024
セッションの傾向
今回は、体感として低レイヤの発表が多めな印象でした。ジャンル的には、自然言語処理、システムプログラミング、言語処理系、HCI、クラウドといった話題が中心となっていました。
特に、OSSコミュニティの持続可能性についての講演はとても印象的でした。普段私も趣味でOSSにコントリビュートしていますが、OSSコミュニティそのものを成り立たせている原理みたいな部分についてはあまり考えたことがなく、非常に勉強になりました。
また、eBPFに関する発表も印象的でした。eBPFを趣味の一環で触ったことはあるものの、eBPFそのものの成り立ちについてや、現状eBPFが抱えている課題などについては全く知らなかったため、非常に興味深い話を聞くことがで きました。
eBPFのVerifierのバグに関する話題の延長で、Verifierそのものの形式検証ができないかといった議論であったり、Rustの形式検証ライブラリの話を聞けたりと、周辺の議論からも多くのものを得られました。
交流イベント・ナイトセッション
初日の夜に交流イベントが開催されました。交流イベントでは、参加者同士で5~6人ずつのグループとなり、協力して行うアクティビティが用意されています。
今回は、二次元バーコードにまつわるアクティビティが行われ、前半と後半の2パートで異なる内容となっていました。
前半は、与えられた二次元バーコードに、3種類のサイズの付箋を二次元バーコードが読み取れなくなるまで貼り付けていき、そのスコアの合計を競うものです。
後半は、スプレッドシートのセルを用いて描画された二次元バーコードが用意され、チームごとに順番にセルのドットを消去していき、二次元バーコードとして読み取りが不可能となったチームから脱落していくという形式のアクティビティでした。
中でも後半パートは最終的に2チームの白熱した接戦となり、大いに盛り上がりました。同時に、二次元バーコードの誤り訂正能力の高さを改めて実感しました。
2日目の夜はナイトセッションとして、参加者間での交流の場が設けられました。合宿という環境で時間が十分にあることもあり、非常に幅広い話題について議論が行われていました。
普段は自分の分野に関することや業務に関連する会話が多くなってしまいがちですが、若手の会では普段の業務とは関係ない分野の話題を深掘りできたり、自分の好きな分野について夢を語ることができたりと、良い意味で大学の研究室のような雰囲気を感じることができました。
おわりに
私の初参加は第55回で、今回スポンサーセッションで登壇した井上さんや殿山さんと同じく、新卒1年目にスポンサー枠で発表させていただいたのが最初になります。
その時に感じた若手の会の雰囲気が気に入ったことと、たまたま幹事としてお誘いいただいた縁もあって、現在まで幹事として運営に携わっております。
若手の会は、学生や社会人の初めての発表の場として は非常に良い場だと感じています。また、これからの情報科学を持続的に発展させていくにあたって、若手の力は必要不可欠です。
例年通りであれば、来年も9~10月ごろに開催となると思います。開催の告知は、公式ホームページと公式X(旧Twitter)アカウントで行っているので、興味が湧いた方はぜひ参加を検討してみてください!
情報科学若手の会 公式X(旧Twitter)アカウント(外部サイト)