LINEヤフー Tech Blog

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Google I/O 2024: セッションよりも開発者との交流がよかった話

こんにちは、出前館開発本部に所属しているフロントエンドエンジニアのシュウ(@xingoxu)です。株式会社出前館に出向し、フロントエンドの開発を行っています。

LINEヤフーでは、海外のカンファレンスや学会に社員が出張し、情報を収集・交換することで社員の技術力向上に努めています。私は今回、Google I/O に二度目の参加をしました。Geminiの新しいアップデートを目の当たりにし、5年前の参加時とは異なる体験ができたため、その内容を皆さんと共有したいと思います。

Google I/O とは

Google のイベントであり、Google 社自身の最新技術のアナウンスとアップデートを発表する場所です。セッション、ワークショップ、サンドボックス、デモ体験、オフィスアワーなど、さまざまな形で情報が発信されます。セッションでは、他の企業の優れた事例を学んだり、最新の知識を習得して既存サービスを改善したりする講演が行われます。これらの内容は、会期後にはYouTubeで公開されるため、後日でも視聴できます。

前回は現地でたくさんのセッションに参加して技術をキャッチアップしました。やはり動画視聴可能なセッション以外のもの、デモを使ったり、新しい技術を試用したり、Googlerと話したり、現地の人と話したりすることでたくさんのエンゲージメントをすることは大事かつ有価値かと思います。

5年前と今回のGoogle Store

ワークショップに参加

初日に参加した「Build gen AI features powered by your app's data with Firebase」というワークショップでは、Michael さんが React で制作した旅行先おすすめアプリを例に、最新の Firebase Connect と PostgreSQL データベース、そして Gemini API を利用した AI 機能の開発方法を説明しようとしていました。

Michaelさんがいろいろ試行錯誤していましたが動かなかった

しかし、Gemini API の統合時にエラーが発生し、この日は最終的な成功した様子を見ることができませんでした。翌日での同じセッションの動画がYouTubeにアップロードされましたが、コードが修正され、問題なく動作していました。

オフィスアワーに潜入

オフィスアワー会場の様子

オフィスアワーはデベロッパー向けのプロダクトで発生した課題を直接 Googler と話せる場所です。今回は、 Chrome Devtools を開発者と話しました。Network Panel でリクエスト/リスポンスの内容を基ついてフィルタリングすることは可能か、Chrome Devtools 自体を自動化することは可能か、プロトコルがどこから見られるかについて質問しました。彼は、私の質問に対して直接回答をしてくれました。英語での説明とはいえ、わかりやすく説明してくれて、開発での実際に活用する上で役立ちました。

さらに彼も私に、なぜそれを知りたいのか、その課題はどの場合で起こったのか、など聞いてきました。生の声を聞いて生かして改善することは彼にとって大事で、お互い同じデベロッパーという立場で楽しく交流することができました。最後、新しい機能をどのようにキャッチアップしているかについても尋ねてました。彼も私たちの立場はよく理解して、「使いたい時にそこでパッと出てきて欲しいのはよくわかっています」と言いながら、現状 Chrome Devtools の機能を知る方法は Chrome for Developers サイト、もしくはインフルエンサーからのまとめなどで知るしかないかなとおしゃってました。たとえ開発者である彼でも、利用者としては同じ悩みを抱えていました。

Webのテナントで Web App のブースで発生したエピソード

今回セッションは、AI、Cloud、Android、Web、テーマごと四つのテナントに分かれ、そのテナントに入り口のところにデモブースが置かれました。そこでデモなどを楽しく体験ができ、技術に対し思いついた質問は直接 Googler と話すことができます。

Web のテナントだと基本 Google Chrome を中心にブースのテーマが決められています。たとえば Performance のところは「Web Vitals を使って測ることができますよ」「Chrome Devtools のいろいろなツールで計測もできますよ」など。Google 自分が作ったものをみなさんがたくさん使ってくれてたら、一緒にWeb をより速くし、ユーザーの体験をよりよくし、たくさんものが作れるという大前提で行ってます。

Performanceブースの様子

しかし、Web App というブースに行った際、私には疑問がわきました。紹介された事例は CapCut で、使われている技術は WebAssembly と WebCodecs、この二つは Mozilla が提出したコンセプトです。なぜ Google がお金をかけて、それらを世界中の人に紹介しようとしているのでしょうか。その疑問に、ブースにいた Google 社員が答えてくれました。Google はその技術をオープンにして、皆がたくさん無料で使うことで、みなさんの仕事が便利になります。結果的にお金が儲かり、そして Google に課金することもできるようになります。さまざまな技術、ソリューションを提供することで、Google に対し信頼が生まれ、その周りの AI、クラウド製品も使ってくれるだろうというビジネス。たとえ課金してくれなくても、そんな良い技術をみなさんが知り、一緒にこの Web のエコシステムをよりよくすることで、次のビジネスチャンスが生み出されるのでしょう。

話す、話す、また繰り返す

このカンファレンスを参加したたくさんの方と話しました。お昼飯の時間でも、そうでない時間でも、話かけたり、かけられたり、もう正直話す大会でした。それは異国でしか体験できないと言えるでしょう。

話す人たち

技術のブロック、開発中の課題、PRのレビューから、どんなプロダクトを作ってるか。みなさんそれぞれの会社の仕事心地、環境、国自体の生活のしやすさ、他国で働く理由、条件。自社で困ってることは他社でも同じ問題になってたか? この技術はこんなところで使われてるんだ?

幅広く情報の交換ができて、世界が広くてそんなビジネスもあるんだなとたくさんの知見が得て、たくさんの刺激を受けました。学ぶだけではなく、モチベーションが高く得られるところがすごく個人的にいいと思います。そしてその刺激を受けて、新しいアイデアの創出に繋げ、これからのプロダクトづくりに活かしていきたいと思っています。

まとめ / 終わり

AIが中心の基調講演

GoogleはAI技術を第一位として発展して、基調講演、デベロッパー基調講演はほぼ AI 一色でした。そもそも世界中今 AI が話題になってるので、セッションまでも既存の技術と AI の結合ケース、実装方法を扱っていました。

  • Gemini Nano in Google Chrome: オンデバイスの Gemini Nano が Chrome に搭載されたことで、ユーザーがAIを通じて文章の生成、タブの整理などいろんな新機能が Chrome に搭載され、使うことができるようになります。さらに、ブラウザの AI 関連 API の促進に働きかけて、将来的には Web 自体もブラウザに搭載されてる AI モデル通じて機能実装できたり、新しい可能性が生み出されます。
  • Gemini for Chrome DevTools: 開発者ツールに Gemini が加われることで、コードのデバッグが効率化されます。エラー情報をクリックすると、AI によるデバッグ提案が表示され、Google 検索の必要がなくなります。

これらの機能は現在まだアメリカ限定かつ英語のみ利用できますが、将来的には全部無料で全世界で利用できる予定だそうです。Google さんは AI をもっと人を助けになれるように発展し技術的なブロックを排除する。そしてウェブ開発者の私たちは、AI を利用して新しいものをたくさん作ること、お互い協力しながら進むことを感じられて、嬉しい限りです。

いかがでしょうか。現地の雰囲気伝えられましたでしょうか? 現地に参加しなかったみなさんも、記事、報告会などでぜひキャッチアップしていただければと思います。同じコミュニティの人たちがそれぞれのところで手を繋いで人を助け幸せにできるプロダクトを作ってることを実感しました。LINEヤフーでもWeb の最新技術を積極的に取り込んで、世界中の開発者と協力しながら、より良いプロダクト、より良いプラットフォームを作っていきたいと感じました。