こんにちは! LINEヤフー株式会社でバックエンドエンジニアをしている三上です。
今回、高専卒の佐藤と弓削、知花、三上の4人が、福井県の鯖江で開催された 第34回全国高等専門学校プログラミングコンテスト(以下、高専プロコン)にて、高専生が作ったプロダクトの魅力を伝えるべくインタビュアーとして参加したので、その様子について紹介します。本大会は2日間にわたって開催され、インタビュアーの以外のLINEヤフー株式会社のスタッフも全部門のライブ配信に携わりました。
本記事では、高専プロコンの概要や様子、インタビュアーの経験を通して感じたことや学んだことに主軸をおきつつ、LINEヤフー株式会社がなぜこういったイベント支援活動をしているのか、また主催する学生向けハッカソン「Hack U」について紹介します。
ものづくりに取り組む学生にスポットライトを
LINEヤフー株式会社では社内外のクリエイター活動をサポートしており、その一環でさまざまなイベントや勉強会の主催や協賛をしています。
とくにLINEヤフー株式会社が主催する「Hack U」という学生向けハッカソンでは、LINEヤフー株式会社の現役社員にサポートしてもらいながら、ものづくりの楽しさを体感してもらい、学生からクリエイターになるきっかけを提供しています。ハッカソン最終日には、期間中に開発したプロダクトのプレゼンテーションや展示会の様子を配信することもあります。
高専プロコンも、Hack Uと同じく学生がものづくりや技術を競っているイベントです。彼らの活躍をさらに見てもらえるようサポートするために、配信ノウハウを持ったHack Uスタッフが、毎年ライブ配信という形で応援しています。
今回のイベントも各部門の様子をまるごと公式YouTubeにてリアルタイムで配信しました。今回の高専プロコンでも、競技のライブ配信やプロダクトのインタビューという形で学生とコミュニケーションを取りながら紹介することで、真剣にものづくりに取り組む学生にスポットライトを当てるお手伝いをしてきました。配信を通じてものづくりの楽しさや魅力を知ってもらい、クリエイターを目指す学生のきっかけになればと思っています。
高専プロコンとは
高専プロコンとは、競技・課題・自由の3部門にて主催者から出されたテーマやルールに沿ったプロダクトを開発し、独創性や完成度を競う大会です。以下から各部門についての簡単な解説を行います。
競技部門
競技部門とは、毎年の高専プロコンの開催地に因んだ競技ルールにのっとり、チーム対抗戦形式でプログラムにゲームを解かせあう競技部門です。今年のルールは「決戦! n乗谷城」。与えられたマス目の陣地を取り合い、より多くの陣地を確保したチームが勝利です。マスを取り合う領域にはあらかじめ城と池が配置され、城を陣地にすると高得点のチャンスです。
なおルールのタイトルである「決戦! n乗谷城」は、今年の高専プロコンの 開催地でもある越前において、戦国時代に繰り広げられた「一乗谷城の戦い」がモチーフです。各チームごとに特色のあるさまざまな戦略が用いられました。たとえばゲームを解くプログラムに機械学習を用いたチームや、相手の動きに合わせてアルゴリズムを動的に最適化するチームなど。
優勝した福井高専のチームはAIに解かせる部分と人間自ら解く部分に分けられ、AIと人力を組み合わせるチームもいくつかありました。今年は企業賞に競技部門のチームが選ばれるなど、非常に熱い戦いが繰り広げられ、現地でも大変な盛り上がりを見せていました。競技部門の様子が気になる方は、ぜひ配信のアーカイブをご覧ください!
課題部門
課題部門とは、主催者から提示されるテーマに沿ったプロダクトを開発する部門です。今年のテーマは「オンラインで生み出す新しい楽しみ」でした。コロナ禍の影響で、日常生活や娯楽がオンライン中心に変化しました。主催側は、高専生に今の状況に合った新しいオンラインの楽しみ方を生み出せるソフトウェアのアイデアを期待していました。
オンラインで集まって楽しむためのプロダクトが数多く展示され、それぞれが課題に見事に応えていました。脳波を利用して操作する斬新なゲームや、中盤からの戦略が鍵となる将棋アプリ、さらには実際の運動を取り入 れたゲームまで、それぞれがユーザーの新しい体験を刺激するアイデアにあふれていました。
これらのプロダクトは、オンライン空間の限界に挑戦し、新しいエンターテインメントの可能性を広げていると実感できました。とくに、日常の行動や感覚を取り入れたアイデアは、オンラインとオフラインの境界を曖昧にし、さらなる楽しさを生み出していたのが印象的でした。
世の中に存在する実際の課題に取り組んだプロダクト群も、アイディアの豊かさと実用性で注目を浴びていました。
- 遊漁船業の安全と楽しさを同時に追求するプロダクト
- セキュリティの習得を実戦感覚で学べる新しいプラットフォーム
- 学生の学習を総合的にサポートする学びのプラットフォーム
朝活を効率的にサポートする独特のツールそれぞれが異なる課題を解決しようと独自のアプローチをされていました。これらのプロダクトは、テクノロジーの力で実際の社会的課題に立ち向かい、人々の生活を向上させる可能性を秘めています。それぞれのプロダクトがターゲットとするユーザーのニーズや生活スタイルを深く理解し、それに基づいて設計されているものが非常に多く、実際に利用してみたいと感じるプロダクトばかりでした。課題 部門のプレゼンテーションの様子は以下の動画アーカイブをご覧ください。
自由部門
自由部門は、柔軟な発想で独創的なプロダクトを開発する部門です。課題部門と違いテーマが設定されていない分、生活の中の身近な不便や社会的にも解決されていない大きな問題に目を向けたプロダクトから、エンタメ性の高いおもしろプロダクトまでさまざまでした。
高専生らしい個性的な面や、彼らの感じている課題が見える部門です。課題部門とも共通していますが、今回はとくに「課題の解決のためにはどういうアプローチを取ろうか」「自分たちのワクワクをどうプロダクトに落とし込もうか」という試行錯誤の見えるプロダクトが多かったです。
課題感・共感という点で非常に説得力のあるプロダクトばかりでした。日々の高専生活の不便に目を向けたプロダクトでは、「どうやって便利にしていくか」とユーザー目線に立って考えられていました。また、世の中の問題を解決するプロダクトでは、問題の渦中にいる当事者のことを学び、その学びを活かしていました。
「さらに世界を楽しくしたい!」というメッセージが込められたプロダクトでは、「自分たち・人は、何にワクワクしているか」「ワクワクをどうプロダクトに落とし込むと効果的か」をきちんと考えられていました。
課題の解決には多くの方法があり、方法によってはユーザーにまったく使ってもらえない・共感してもらえない、最悪の場合は根本の解決に至らないこともあります。高専生たちは「世の中を変えるために考え・行動し・改善する」という一連のサイクルを高いレベルで回していて、こちらも負けてはいられないなと刺激を受けてばかりでした。自由部門のデモンストレーションの様子は以下の動画アーカイブをご覧ください。
高専プロコンに参加して思ったこと
三上 :
去年から引き続きインタビュアーを担当した三上です。 去年に引き続きプロダクトの完成度の高さやプレゼンテーションの質の高さに驚きました。X(旧Twitter)上で「#procon34」でハッシュタグ検索すると、さまざまな参加者による高専プロコンの盛り上がりがリアルタイムでポストされていました。お祭りのような雰囲気の非常に楽しいイベントでした。
プロダクトに関 しては、昨今大きな盛り上がりを見せている、生成AIをプロダクトへ取り込んだプロダクトが多く見られました。去年、このようなプロダクトは見られませんでしたので、高専生のはやりの技術への関心の高さと、プロダクトに落とし込む能力の高さには驚きました。
生成AIの活用方法として、プロダクトへオプション機能として実装したものや、生成AIを前提としたものの2パターンがありました。このような活用方法もあるのかと非常に勉強になりました。新しい技術の到来によって、今までは解決しづらかった課題へのアプローチが容易になりそうで、今後どのようなプロダクトが生み出されるのか、ワクワクが止まりません。魅力的なプロダクトが勢ぞろいする本大会だからこそ、インタビュアーとしてプロダクトの魅力を引き出し、世の中にスポットライトを当てられるよう努力していかねばと強く思いました。
弓削 :
今年から初めてインタビュアーを担当した弓削です。学生時代にも高専プロコンに参加していましたが、「学生に戻っても、このプロダクトは作れないかも…」と思うほど、本当にレベルの高いプロダクトが集結していました。ただ単純にプロダクトを作るだけでなく、対象ユーザー層に合わせてユーザーインタビューを行い、プロダクトを改善していくなど、プロダクトマネジメントの観点も強く意識されたプロダクトが多かったのが印象的でした。
一度ある程度のラインまで開発したプロダクトを、ユーザーインタビューの結果に応じて柔軟に修正する工程は、簡単そうに見えて実は非常に難しい工程です。そういったビジネス思考の高いプロダクトを 体験させていただいて、自分も頑張らないと!と強く奮起させてくれる良い機会でした。
高専プロコンのような、優秀な高専生の発表の場を尊重し、元高専生の私としても何か応援できることがないか常に探しながら、これからも「高専生ってこんなにすごいんだよ!」と社会にさらにアピールしていけたら良いなと感じました。
佐藤 :
課題部門でインタビュアーを担当した佐藤です。初めて高専プロコンに参加しました。生徒の皆さんが持つ素晴らしい創造性と情熱に感銘を受けました。披露されたアイデアは、独自の発想と技術的な知識が融合されており、その結果生み出されるプロダクトからは未来への期待や、高専生としての誇りを感じ取られました。実社会の問題解決思考への取り組みや、新技術への適応能力は、まさに今後の業界での大きな貢献を予感させるものでした。
とくに現代の要求をしっかりとキャッチしながら、それを技術で形にしている点です。たとえばオンラインゲームの共有体験、日常の運動の新しい楽しみ方、セキュリティ学習の進化、学生の学習サポートなど。私が目の当たりにしたプロダクトは、生徒たちの真剣な取り組みや情熱が明確に表れており、これらが多くの人の生活を豊かにすることを心から期待しています。これからの皆さんの道のりや挑戦を、温かく見守っています。頑張ってください!
知花 :
去年から引き続きインタビュアーを担当した知花です。 高専生の「課題を見つける力」と「見つけた課題を解決する力」の高さを実感できる高専プロコンでした。自由・課題部門では、より良いものを作ろうとす る思いを強く感じました。高専生が当事者に取材してプロダクトづくりの糧にし、できたプロダクトをユーザーに使ってもらい、得たフィードバックを元に改善していることなど。普段お客様に触れるサービスを作っている身として、こういった姿勢が学生の頃から身についているのは素晴らしいな、羨ましいな!と思うばかりです。
競技部門も、今回は「陣取り合戦」の盤上では各校凄まじい戦いを繰り広げていました。「自陣地を広げて相手に勝つ」という単純だけど難しい課題に、さまざまなアルゴリズムを駆使して、チームそれぞれで戦略を練り立ち向かっていました。数学的な要素や高度なアルゴリズムの実装力、何より勝つための戦略を練る頭脳が試される、アツい部門だなと思います。
優勝チーム:福井高専「蟹高専」チームの力強い咆哮(ほうこう)は、記憶に新しいです。今年のプロコンは本当ににぎやかで、高専生たちのたくましい姿を間近で見られて本当に嬉しかったです。ものづくりに対するエネルギーを、彼らからもらえたような気がしています。これを見ている皆さんにも、高専生たちの活躍が伝われば嬉しいです。
最後に
LINEヤフー株式会社では、ものづくりに情熱を持つ学生の皆様向けに、「Hack U」と呼ばれる、ハッカソンイベントを開催しています。このイベントは、学生の皆様の考えるさまざまな課題解決や創作活動を支援する取り組みの一環として、定期的に開催しています。
ハッカソンは学生たちがアウトプットの場として、LINEヤフー株式会社の現役社員のサポートを受けながら、自分たちが作りたいものを企画・開発・発表する舞台です。2021年より全国の国公私立高専生限定のハッカソン「Hack U KOSEN」を定期開催しております。
そして今冬も「Hack U KOSEN 2023」が開催されます!今年の開発テーマは「クリスマスをHackせよ!」です。発表会はクリスマス直前というタイミングで実施されるため、思い思いの方法でクリスマスをより楽しく、面白く、幸せな時間に変えるプロダクトの開発をしていただきます。
さらに今年の発表会は、LINEヤフー株式会社 東京オフィスである紀尾井町オフィスで実施する予定です(一般の方は発表の様子をHack U公式YouTubeにてご視聴ください)。イベントの日程や詳細内容については開催概要ページをご覧ください。高専生が仕掛ける「クリスマスをHackせよ!」というテーマに沿った驚きあふれるプロダクトを、楽しみにお待ちしております!今後もHack Uではこういった取り組みを続けてまいります。最新情報はHack Uの公式X(旧Twitter) ・YouTubeをフォローすると受け取れます。ものづくりが好きな方・興味がある方は、ぜひチェックしていただければと思います。Hack Uの活動をきっかけに、ものづくりの楽しさを知ってもらえたら幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。